ピロリ菌除菌治療
2014.01.16
胃がむかついたり、胃に不快感を感じることはありませんか?
これらの症状は、ヘリコバクター・ピロリ菌による可能性があります。ヘリコバクター・ピロリ菌(以下ピロリ菌)とは、人間の胃の粘膜に住んでいる体長が4ミクロン(1000分の4ミリ)ほどの細菌です。ピロリ菌の体は、2~3回ゆるやかに右巻きにねじれており、4~8本のべん毛が生えています。そして、このべん毛を回転させて活発に動き回り、人の胃の粘膜の表面や細胞の間に入り込んで炎症を起こします。
ピロリ菌は全ての人の胃にいるかといえば、そうではありません。日本では40歳代では40%、50歳代で50%というように年齢が上がるに従って感染率が高くなっています。
では、どうやってピロリ菌に感染してしまうのでしょうか?
それにはいくつかの感染経路があります。例えば、ピロリ菌を保持する親から免疫能力が不完全な幼児への経口感染や、飲料水を介しての感染などです。
ピロリ菌に感染するとどうなるのでしょうか?
まず、すべての人が胃もたれや食後の腹痛、胸やけなどの慢性胃炎になります。そのうち一部の人は症状が進行し、胃粘膜自体が萎縮し薄くなる委縮性胃炎になります。さらにその一部の人(ピロリ菌患者のうち約2~3%)が慢性胃潰瘍になります。さらに進行すると潰瘍の一部に胃ガンが発生します(ピロリ菌感染者のうち約0.5%)。胃潰瘍や十二指腸潰瘍の人のうち約80~95%がピロリ菌に感染しており、ピロリ菌は潰瘍の大きな原因となっています。
ピロリ菌に感染しているかどうかは、検査で分かります。
内視鏡を使う検査と、内視鏡を使わず、吐き出された息や血液、尿・便を採取して行う検査があります。検査でピロリ菌が見つかったらピロリ菌は1週間の除菌治療で胃から追い出すことができます。胃酸の分泌を抑える薬と2種類の抗菌薬を朝・夕食後7日間飲みます。
除菌治療終了後、4週間以上たって判定検査をします。この時、胃にピロリ菌がいなければ成功です。成功率は70~80%です。残念ながらピロリ菌がまだいた場合、除菌は失敗です。除菌に失敗した場合は、薬の種類を変えて、二次除菌治療を行うことができます。
除菌治療について除菌治療には副作用が伴います。主な副作用は、下痢や軟便、味覚異常です。これら以外の症状が現れることもありますので、その場合は医師や薬剤師に相談しましょう。
除菌治療に成功すると、潰瘍に悩まされることがほとんどなくなります。
食事がおいしく食べられるようになるので、太ってしまう場合があります。健康な生活を送るため、食生活などの生活習慣に気をつけましょう。また、潰瘍の薬は、潰瘍が治ったのを確かめてから中止します。これも医師と相談して決めるようにしましょう。
除菌治療成功後も潰瘍の再発や、胃ガンが発見されることもありますので、1~2年に1回は経過観察のため通院してください。
当院には専門医副院長 大家 昌源( おおや しょうげん)がいますので受診希望の方はお問い合わせ下さい。
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