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冷え性

2014.01.16

 

いつもからだが冷えて困っている人は意外と多いのではないかと思います。 

手足が冷たくて眠れない、お腹をこわすなど、冷えからくる不調に悩まされているのではないでしょうか。体が冷えて、体温が1℃下がると、免疫力が37%も下がると言われています。免疫力が衰えると、風邪をひきやすくなったり、糖尿病や心臓疾患、腎臓病、ガンなどの重い病気のリスクが高まります。

0-23 こうしたことから、日頃から体を冷やさないようにすることが大事です。特に女性は、冷えには注意が必要です。男性と比べて熱を生み出す筋肉量が少ないために、基礎代謝が低いのと、月経、妊娠・出産、更年期・閉経など、ホルモンバランスの変化が多いため、『冷え性』になりやすいからです。女性は体が冷えると、血の流れが悪くなり、不妊や月経痛などの不調が現れます。最近では、月経痛は子宮内膜症の予備軍とまで言われています。子宮内膜症の女性は増え続けており、不妊症の原因にもなっています。子宝を授かるためにも、しっかり体に熱を蓄え、熱や血の流れを良くすることが大切です。

 このように様々な体の不調を引き起こす「冷え」はぜひ改善したいものです。そこで着目したいのが漢方医学です。西洋医学で説明のつかない症状でも、漢方で治療することが可能です。そういう意味で、冷え性の治療はまさに漢方医学の得意とするところなのです。

冷えは病気ではないなどと思わず、早めに医師に相談するのをお勧めします。

気血水

漢方の診療では、患者さんを観察して、心や肝などの「五臓」の働きや、体の中にある「気」・「血」・「水」の量や流れがどうかを診ます。そして、一人ひとりの体質や症状などに合わせて漢方薬を処方します。まさにオーダーメイドの治療です。

 

 

 

漢方医学からみる冷え性

 漢方医学では、冷えの状態や原因などから冷え性を次の3つのタイプに大別します。

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①全身が冷えるタイプ

高齢者や極端なダイエットをしている人に多くみられます。

②手足の先が冷えるタイプ

熱を運ぶ血液が不足した「血虚(けっきょ)」や血のめぐりの悪い「瘀血(おけつ)」で生じます。漢方では、血液の循環が悪く、血が滞った状態を「瘀血」といい、子宮筋腫や子宮内膜症が生じると考えます。瘀血は冷えの原因になりますが、逆に冷えると流れが悪くなり瘀血を生じます。

③下半身が冷えて、上半身がのぼせるタイプ

生命のエネルギーである「気」の流れが悪いこと(気帯)が原因で起こり、更年期によくみられます。

 漢方薬は、冷えのタイプや原因別によって処方されます。ですから、「冷え性」と一言で言っても、漢方医に診てもらうことで自分がどのタイプなのかを知り、症状にあった治療を行うことで、より効率よく、少しでも早い冷え症の改善が期待されます。漢方薬には、体を温める薬のほか、血が不足気味の血虚の人には血を補う薬、血やエネルギーのめぐりの悪い瘀血や気滞の人には、流れを良くする薬があるのです。

冷え症によく使われる漢方薬は次のとおりです。

市販の漢方薬と医療機関の処方箋による漢方薬では有効成分含有量が2~3倍違います。
また保険診療が適用されますので自己負担が少なくて済みます。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

血を補ったり体の余分な水分を除き、結果的に冷えを取る薬です。貧血、倦怠感、更年期障害、月経不順、月経痛、どうき、妊娠中の諸症状の治療にも用いられます。

 

当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょくとう)

手足の指先が白色や紫色(しもやけ)になる人や、下腹部が痛む人、腰痛に用いられます。

 

八味地黄丸(はちみじおうがん)

加齢や熱のエネルギーの産出が少ないために生じる冷えに用いられます。特に下半身が冷え、腰痛、尿失禁のある人に用いられる。

 

漢方治療に併せて、日常の生活習慣にも気を配ることで、改善効果が期待できます。

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①運動をして筋肉量を増やしましょう。筋肉を鍛え、体温を上げることで基礎代謝が高まり、冷えも改善されます。

②食事に気をつける漢方医学では、その土地や季節に合った食べ物を摂ることをすすめています。ビールやアイスクリームなどの冷たいもの、冬場の夏野菜やフルーツの食べ過ぎに注意します。熱くても緑茶やコーヒーは体を冷やす原因になります。

③入浴法に気をつけましょう。浴そうにつかり体を温めます。シャワーだけですませるのは、冷えの原因になります。 

 漢方治療は、不調の改善具合や体調の変化を観察しながら行っていきます。ですから、日々の生活習慣を見直し、その時々の体質や健康状態に根気よく、じっくりと向き合いましょう。そして、自分と相性のよい漢方薬を治療に取り入れることで、より健やかで快適な毎日を手に入れてください。

 

お読みいただきありがとうございました。
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